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前方を、茶色の綺麗な長い髪をなびかせながら早歩きで横切る少女がいた。
それはもちろん、
「足立、楓希、さん…」
だった。
「へ~、今のが柾の初恋の女の子ねぇ~」
チラッと俺の方を見てきた。
「ぅお!!」
俺は楓希さんが通り過ぎた曲がり角をじっと見続けていた。きっとまた頬を赤く染めていたんだと思う。
(こりゃあ、マジなのか?真剣で彼女に恋しちゃってるのか!?)
拓馬は俺の顔を覗き込みながら言葉を続けた。
「お、おい、柾。行くぞ?」
「……」
俺は反応しなかった。というか、できなかった。
今見た楓希さんの姿が目に焼き付いて離れない。
「やべー、俺楓希さんに惚れたかもー」
…そうか拓馬も。やっぱり一目見ただけで楓希さんには惚れてしま………え?
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