第一話 お近づきになりたいのだが

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 前方を、茶色の綺麗な長い髪をなびかせながら早歩きで横切る少女がいた。  それはもちろん、  「足立、楓希、さん…」  だった。  「へ~、今のが柾の初恋の女の子ねぇ~」  チラッと俺の方を見てきた。  「ぅお!!」  俺は楓希さんが通り過ぎた曲がり角をじっと見続けていた。きっとまた頬を赤く染めていたんだと思う。  (こりゃあ、マジなのか?真剣で彼女に恋しちゃってるのか!?)  拓馬は俺の顔を覗き込みながら言葉を続けた。  「お、おい、柾。行くぞ?」  「……」  俺は反応しなかった。というか、できなかった。  今見た楓希さんの姿が目に焼き付いて離れない。  「やべー、俺楓希さんに惚れたかもー」  …そうか拓馬も。やっぱり一目見ただけで楓希さんには惚れてしま………え?
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