プロローグ 春ですね

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 ―…7:05  「…予定していた時間よりも少し遅くなったか」  表示されていたのは黒髪の少年の腕時計。  そして彼はちょうど今家の前に着いたところであった。  玄関に入ると、いい匂いがした。  少年はリビングまで進むと、  「おはよう、母さん」  今まさに食卓に料理を並べている女性に挨拶をした。  どちらかというと茶色に近い黒の長髪で、体は細く背は少年と同じくらいだ。  母さんと呼ばれるには少し若い感じがする。  「あら、空木(ウツギ)、今日もランニングに行ってきたの?今日は始業式なんだから、今日くらい休んだらよかったのに」  少年の母は空木と呼ばれた少年に柔らかい笑顔を向けた。  「今日はって言っても、福寄高校は遠いから、平日に朝ランニングできるのは、集合時間が遅い今日くらいだからね。 多分明日からはできないよ」  空木も笑って応えた。  そう、と言って空木の母はまた食事の準備に戻る。  「じゃあ、軽くシャワー浴びて学校の準備してくるよ」  そう言って振り返り、廊下へと歩いて行った…―
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