17人が本棚に入れています
本棚に追加
/133ページ
―…7:05
「…予定していた時間よりも少し遅くなったか」
表示されていたのは黒髪の少年の腕時計。
そして彼はちょうど今家の前に着いたところであった。
玄関に入ると、いい匂いがした。
少年はリビングまで進むと、
「おはよう、母さん」
今まさに食卓に料理を並べている女性に挨拶をした。
どちらかというと茶色に近い黒の長髪で、体は細く背は少年と同じくらいだ。
母さんと呼ばれるには少し若い感じがする。
「あら、空木(ウツギ)、今日もランニングに行ってきたの?今日は始業式なんだから、今日くらい休んだらよかったのに」
少年の母は空木と呼ばれた少年に柔らかい笑顔を向けた。
「今日はって言っても、福寄高校は遠いから、平日に朝ランニングできるのは、集合時間が遅い今日くらいだからね。
多分明日からはできないよ」
空木も笑って応えた。
そう、と言って空木の母はまた食事の準備に戻る。
「じゃあ、軽くシャワー浴びて学校の準備してくるよ」
そう言って振り返り、廊下へと歩いて行った…―
最初のコメントを投稿しよう!