プロローグ 春ですね

9/14
前へ
/133ページ
次へ
 男はそのまま手をアタフタさせると、  「どどどどどうしようっ!と、とりあえず、飯は!?朝飯は食ったのか!?」  「うん、食った。もう歯も磨いたよ?」  「ぁ、そ、そか……じゃあ学校行く準備は!?ハンカチとティッシュは持ったか!?」  「抜かりなく」  「あとはー…えとー……」  「おにいちゃん」  「え!?」  「私はもう、出発するだけ」  「あ、ああ!そうか!ってことは・・・」  「あとはお兄ちゃんが準備するだけ」  男が焦って質問するのに対し、麗は冷静に、そして、やはり淡々と答える。  「てか!もう8時なんだからお前はもう学校行って来い!鍵は俺がかけとくからっ」  それだけ言うと急に動き出した。  ドタタタタッ  家の中を、服を着替えながら駆けまわる。  それを横目に麗は玄関へとゆっくり進み始めた。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加