まずは一人目

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青春謳歌。その言葉は俺らに当て嵌められるだろう。 桜の吹雪が舞い散る春。 僕らは受験という名の地獄から解放され、今、正に青春謳歌を夢見る。 真新しい制服を着こなして、俺、風生 鈴音(カザキ スズネ)は歴史を感じる校舎へと向かう。 え?名前が女っぽい?殺されたい? 「えーっと。俺のクラスは…」 あった。8組か。一番端のクラス。 そんな呑気な俺の後ろが何やら騒がしい。 理由は大抵わかる… 「すっずー!!」 とある美少女がこちらに走って来る。 きっとこのまま来れば抱き着かれるだろう。 彼女?んなわけないだろ!!気持ち悪い…。 そして案の定抱き着こうとする。 と、そんな美少女を背負い投げぇぇ!!!! 美少女は軽々と投げられ、尻餅を着く。 「ふっ。自業自得だ。」 「くそー!!何故避けた!別に良いではないか!」 「キモい。近寄るな。」 「なっ!!酷い!そんな風に育てた覚えはないわ!」 「俺も育てられた覚えはない。」 いかにも男口調の美少女。 こいつの名は呵々原 華磨(カガハラ ハナマ) 俺の少ない友人の一人だ。 周りから見れば単なる口が悪い美少女なのだが、決して騙されては成らない。 彼は正に “女装男子” なのだから。 だが、一つだけ間違えては成らない。 女装男子=同性愛者ではない。 本人曰く 「何故、女子限定があって男子限定がないんだ! スカートとかスカートとかスカートとか…」 らしい。 実際、こいつは大の女好き。 俺の彼女も取ろうとしたことだってある。 あん時は彼女がいい子で本当に良かった。 「鈴ー!!いい加減、避けるな!!」 さっきから同じ事を言い続ける友人に飽きた俺はいかにも嫌そうな顔をする。 「そろそろ飽きた。いい加減、教室行くぞ。」 「なっ!!行くからその冷たい顔やめろぅ!」 「分かれば良い!」 俺は白い歯を見せてはにかむ。 そして、教室へと進む。
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