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気づけば外にいた。
おそらく屋上。
晴「あれ……なんで」
俺は珍走集団に押しつぶされて死んだはずじゃあ……
楓「勝手に自分殺すな」
ゴツンと殴られた。
晴「楓か。お前がここまで?」
楓「うん。晴登が死ぬ前にね」
確かに体に痛みなどは感じない。
あんな状況から俺を救出するなんてただ者じゃない。
晴「お前消防士にでもなれば?」
楓「あいにく、そんな熱い仕事は嫌いなのよ。赤色あんま好きじゃないし」
晴「色かよ」
楓「そんなことはどうでもいいから。教室戻る? もう講義始まってるけど」
時計を見ると、講義開始からすでに30分経過している。
今から行っても単位にならないし……。第一気が進まない。
晴「終わるまでここにいる。楓は行きたきゃ行けよ」
楓「いかない。多分晴登と同じ理由」
晴「ふーん」
いつもは真面目が取り柄なコイツだが、今日は珍しくサボるらしい。
楓「…………」
晴「…………」
やべ……
話すことがない……。
しかしこのままだと場の空気に押しつぶされそうだ。
晴「あのさ……」
楓「ねえ……」
まさかの、いやお約束というか、沈黙の後のかぶり。
晴「あ、じゃあそっちからで」
お約束にはお約束。
楓「う、ウチは別にいいから、晴登から言ってよ」
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