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一瞬で冷たい空気が教室中に流れ込む。
今まで合っていた目がどんどん離れていく。
「いや……あの……」
回復を試みようとするものの、月王を無視した小声での会話達が邪魔して次の言葉が出てこない。
月王の脳裏には、これからの自分の姿が浮かぶ。
中学三年間、皆んなに無視され続け、最悪壮絶なイジメにあって……
「終わった……」
教壇で崩れ落ちた時、
「ハハッ、お前面白いな!」
一番前に座っていた男子生徒が立ち上がった。
「俺の名前は……」
教壇にいる月王へと歩み寄り、右手を差し出す。
「河嶋明、よろしくな」
今にも零れそうな涙を堪え、
「よろしく」
月王は明の右手を両手で強く握り締めた。
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