アキラ

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「俺はまだ死にたくないんだ」 明の両手が輝きを増す。 「うぁっ!」 それに驚いて、月王は退いてしまう。 「もう…… 時間がない」 時計を確認する。 11時59分…… 「日付が変わる……」 そう言いながら間を詰めて来る明の覚悟の目を見て、月王は更に後ずさりする。 だが、もうそれ以上は下がれない位置。 背中には大きな月と、これより先は崖であるという事を示す柵。 「月王……」 目の前まで近付いた明は、光り輝く両手を大きく広げる。 「まだ死にたくない」 その言葉の恐怖と両手の眩しさに、 「うぁーーーっ!」 力一杯目を閉じて叫び声を上げた。
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