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月王は温かさに包まれた。
「まだ死にたくはないけど……」
明は月王を抱きしめていた。
「死にたくはないけど、お前を裏切ってまで生きてたって……
それは死んでるのと同じだ」
「明……」
「俺にとってお前は、月の王なんかじゃなく……
ただの親友だ」
明は抱きしめていた両手をそっと離し、僕の両手を力強く握り締める。
「男に抱きしめられるなんて気持ち悪かったよな」
月王は下を向いて首を激しく横に振った。
「そんな事ないよ」そんな言葉さえ返す事が出来なかった。
「俺も気持ち悪かったし」
そう言って明は軽く笑った。
と同時に、明の足元が両手の光とは比べ物にならない程輝き出し、その輝きは膝、腿、腰と徐々に包み込んでいく。
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