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「一時……もうこんな時間……」
月王は何も考えられずにいた。
いや、考える事が怖かったのかもしれない。
明が消えた事……
「違う!」
大きく首を振る。
本当に怖かったのは、『親友だ』と言ってくれた明を信じてやれなかった事。
最期の最期、笑顔を見せてくれた明に、何も言ってやれなかった事。
明から貰った光り輝く左手を眺める。
手の甲には血管が浮き上がり、
まるで漢字の【日】の文字。
身体が震え、涙が零れる。
「明……
僕は……
いや、俺は……」
月王は立ち上がった。
「行かなきゃ……」
消えた明に背を向け、
「強くなるよ……
お前みたいに」
走り出した。
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