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「久しぶりぶりだよな、この場所で落ち合うの」
明はそう言って町を眺め、手袋をはめた両手を広げ夜空を見上げて伸びをする。
春になったとはいえ、この町はまだ冷える。
「なぁ、どこか暖かい場所に移らないか?」
月王の提案に、
「いや、ここが良いんだ。
この場所は……二人でどんな事でも話してきただろ?」
そう言って明はニコッと微笑む。
この明るい笑顔を見ると、月王は何も反論出来なくなる。
「何か大事な話でもあるのか?」
月王の問いに、明は微笑みを真顔に戻して口を開くが言葉が出てこない。
言い淀んでいるのを見兼ね、
「また誰か好きになったとか?」
冗談混じりに本意を問う。
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