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彼女はそうボヤきながらローブの中から一枚のカードを取り出す
「な、何するつもりだぁ?」
スレイブの声には一切気にせず彼女はカードを切り始めた
「じゃあ、仕事だからちゃんとやらせてもらうわ
転生倫理委員会No.Ⅸ 『隠者』の名においてスレイブ・E・マグナ、現世名二宮烈司。違法転生者であると断定。これより、更正します」
「はぁ?何言ってやがる!違法転生者だと?しかも、何で俺の名を知ってやがる!」
彼は疑問を投げ掛けるが彼女はそれを敢えて無視し続ける
「これより、力の剥奪を行います!」
そう言い放ち彼女は両手を前にかざす。その手の先には先ほどのカードが浮かんでいる
「………我は隠者。かの者を導く者。今こそ、我が名をもってかの者の力を滅せ!ヘルメス トート トリスメギストス!」
彼女が詠唱すると同時に光が放たれ、彼の全身を包みこんでいく
「ぐっ、何だ、こりゃ!離せ、離しやがれ!!」
「抵抗しても無駄よ。あんたはどっかの名もない神からその力を貰ったみたいだけど、私のこれは…まぁ、いいか」
全部説明しろと抵抗を繰り返すスレイブをチラッと見るもののすぐに視線を外し、背を向ける
「じゃあね。あなたの夢は終わるけど、ここからが始まりだから。…頑張って」
そう言い残すと彼女はフードを被り直し、まるで煙のように姿を消した
後に残るのは彼一人、そして、激しい闘いの跡形だけ
そうして、ようやく彼は起き上がった
「はぁはぁ、ち、畜生!ありゃ、何だったんだ…
ま、とにかくよく分からんがギルドに帰るとするか
出でよ、時空を掌握せし魔剣、エターナルソード!」
彼はいつものように詠唱をするが何も変化はない
「あぁ?何で出てこないんだ?出でよ、エターナルソード!」
そうして、幾度も繰り返すが一向に現れる様子はない
不意に、彼は彼女の台詞を思い出し、本日三度目の驚愕の表情を見せる
「ま、まさか…。あの女、俺の力を奪いやがったのか?あり得ねぇ、あり得ねぇえぇぇぇっ!うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
何度も、彼の叫びは続いたが彼の力が戻ることはなかった
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