7人が本棚に入れています
本棚に追加
ザク…ザク…
見渡す限り、白銀の街。
聞こえてくるのは男が一人、雪上を踏みしめる音のみ。
昼間だというのに静まりかえった街並み…ちらりと見やれば、室内には影が見える。
別段、人の気配がないわけではないのだ。ただ、外に、人影がない。
それもそのはず、此処は万年雪に覆われた極寒の国。来る日も来る日も、人々が雪の姿を見ぬ時はない。いかなる時も、国中が白銀に包まれている。
今日も今日とて、この街には真っ白な雪が降り注ぎ、男の肩を冷たく濡らしていた。
最初のコメントを投稿しよう!