零零壹

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元気が良さそうでいて、学ランが気持ち悪い程に似合う、見た目は僕と同じ位の歳の少年。 もちろん、あの如何にも汚れが目立ちそうな学ランに見覚えなどはない。 「逃げるのを止めたわけじゃない。戦わないのを止めただけさ」 「そもそも、貴様の二十倍は生きている魔女の私が、逃げる訳も理由もない」 僕の言葉に便乗する赤毛の少女。トレードマークの赤いマフラーに、黒いポンチョのような服がよく今日も良く似合っている。 少年は膝を抱え込み、くるくると回転しながら、アクロバティックな動きで煙突から降りてきた。 目測、十メールくらいの高さから。 ズダン、と地面に着地音を響かせながら、少年は綺麗に着地した。 にぃ、と少年は口を歪ませて笑う。
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