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アサとギルバートが視聴覚室に戻ると、他の部員達も戻っていて、何やら深刻な表情を浮かべていた。
「どうしたんだ?」
尋ねてみたが、しっと唇に人差し指を当てて制しされ、真っ暗な部屋の中、前の巨大なスクリーンに映る映画を目にして、アサはギルバートと目を合わす。
「開演時間には、まだ早いんじゃないのか?」
「それが・・・」
リナが小声でアサに耳打ちして、真ん中の席を堂々と陣取る四つの影を指差した。
「・・・あの人達、生徒会の人達なんだって」
「生徒会?」
「うん。・・・真ん中の左があの女の人が会長で、その右となりが副会長さん。挟んだ左が書記で右が会計なんだって」
「そうか。だが、何故・・・」
「何か、どんなものか調べに来たらしいよ」
短く経過を話したリナに頷いて、アサはもう一度後方から四人を見た。
しばらくもせずにエンディングロールに入り、映画も終了して、ぱっと灯りが付く。
「・・・どうだったかな?このティム・レイニーの渾身の作品は?」
「・・・・・・まあまあね」
ティムに対して容赦もなく冷たい評価をしたのは、紅一点の少女だ。
アサが見る限り、生徒会長には相応しくない格好だ。制服をだらしなく着崩していて、指定のスカーフも巻いておらず、スカートも極端に短い。その上堂々とヒールを履いている。
けれども、学院の中では美少女というよりも、美女に分類される程の、整った顔立ちをしている。
陶器のように真っ白い肌に、協調されている谷間。手足もモデル並みに細くて長いし、首も顔も細い。
赤の中でも朱色と呼ばれる赤い髪は肩のあたりで段となっていて、胸にかかるほどの長さだ。瞳の色は髪と同じ色だ。
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