告白

2/9
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
 体の痛みで目が覚めて、自分が椅子に座ったまま机に突っ伏していた事に気づく。ここは自分の部屋、窓から漏れるか細い光が、やたら眩しく感じる。次に感じたものは、恐ろしいほどの寒さだった。  まぶたが引っ付くほど、目が腫れている。両目だ。洗面所へ向かい鏡を見ると、酷い有り様の自分の顔が映る。  ボサボサの髪にやつれた頬、腫れた目のせいで骸骨みたいだ。生気の薄れた血色は、思わず脱力感を呼び起こす。ため息が漏れた。  部屋に戻ると、布団の上に開いた状態で無造作に転がる携帯が目に入る。昨日の記憶ははっきりあるが、正直言うと思い出したくないのが本心。  携帯を手に取り、布団の上に座る。電気が点いているにも関わらず、窓から漏れる日光の方が明るかった。それはまるで、くすんだ世界を照らす真実の炎に見える。今の僕にとってはまだ、明るすぎるものだ。  携帯を見ていくうちに、蘇る感情。喜怒哀楽、否、哀だけ。あんなに楽しかった時間、あんなに待ち遠しかった時間、あんなに嬉しかった時間、あんなに幸せだった時間。  今となっては、全て哀しい。その事実もまた、込み上げる涙の原因。  僕はメールを見返していた。それは昨日、いや正確には今日、失恋した相手のもの。涙が一粒、堪えきれず零れた。それをきっかけに、堰を切ったように流れ落ちる涙。携帯の文字も画面も、自分の手すらまともに映らなくなる視界。耐えきれず漏れてしまう声が、頭の中まで響き渡った――
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!