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「ねぇ、俺も行っていい?」
と蒼太君が言ってきた。
「いいけど私は払わないからね」
「はいはい。ちゃんと自分で払うよ」
ということで弟君も来ることになった。
「コーヒー」
『ヴェルチェ』に入って蒼太君が発した第一声がこれ。
「いろんなコーヒーの臭いがする」
「まぁ一応カフェだからね」
蒼太君は店の中をもの珍しそうに見渡している。
カフェに来たことないのかな。
「蒼太君カフェは始めて?」
俺の質問に答えるために蒼太君がこちらに体をくるりと向けた。
「はい!俺コーヒー大好きなんですよ!
でもカフェなんて一人で入るの恥ずかしいから店に売ってるやつを飲んでるんですけど、やっぱインスタントじゃなくて本物は匂いから違うなぁ」
コーヒーが好きだといってる蒼太君は大人だなと思ったけど、わくわくしている姿は子どもだなって思った。
「それでは、こちらの席へどうぞ」
俺はスタッフへと戻り、お客様2名を席へと案内した。
「うわっ、コーヒーや紅茶の種類がいっぱい・・・どうしよう」
とお姉さんの方が飲み物のメニューを見て悩んでいた。
「どのような味が好みですか?」
「えっと・・・どっちかというと甘めなくらいのコーヒーがいいです」
「それならカプチーノはどうですか?
カプチーノのベースはエスプレッソで、エスプレッソは苦味、甘味、酸味のバランスがいいんです。それにミルクを足すので多少甘めですよ」
「へぇ、それじゃカプチーノでお願いします。それとフルーツタルトで」
「かしこまりました」
お姉さんの方は決まったけど蒼太君の方はまだ悩んでいた。
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