569人が本棚に入れています
本棚に追加
「そ、それより、早く降ろしなさいよこのバカ!! ・・・・は、恥ずかしいじゃない・・・・」
「お、おぉ。ワリィワリィ」
恥ずかしがってモジモジする姿に、俺まで照れ臭くなってしまった。
鈴音を降ろすと幾らか殺気は消えたが、完全には消えなかった。
(はぁ~面倒くせぇ、だから嫌なんだよ・・・・っと、あいつらは・・・・)
一人大量の殺気を受けて苛々していると、見覚えのある四人の男女を見つけたので、鈴音を連れて足早に移動した。
「よっす!! ま~た不機嫌そうな顔してるッスね!!」
俺たちがその集団に近づくと、赤い髪と瞳の少年が声を掛けてきた。
「るっせぇ。テメェこそナンパに失敗したクセに何を言う」
「な、なぜそれをッス!?」
髪は針山の様にツンツンしていて肩くらいまである赤髪。
切れ長で紅い瞳のこの残念なやつは『紅蓮・バースト』
長身の割に体つきは細く、しかし弱々しい訳ではない。
蓋を開ければ鍛え抜かれた肉体が顔を覗かせ、所謂細マッチョな体型をしている。
顔は忌々しい事に爽やか系の抹殺対象、つまりイケメンだ。
しかし性格が三度の飯より女子が好きなせいで、まるでモテない残念イケメンだ。
あ? 俺?
自他共に認めるフツメンですよちくしょう!!
因みにコイツの一人称は『俺っち』、語尾は『ッス』の見た目に全く合わない統一感皆無なキャラだ。
「マジだったのか・・・・すまん紅蓮・・・・」
紅蓮の趣味はナンパだが、趣味になるほどなので成功率は皆無と言える。
紅蓮ザマァ(笑)
「テメェ!! カマかけたッスね!!」
紅蓮が己の失態に気付き俺に掴みかかろうとしたとき、紅蓮の後方から声が聞こえた。
「……六花……」
「ん? おぅ、『蓮』か。どうした?」
喧しい紅蓮を無視して声のした方に向かうと、黒髪の少年が無表情で佇んでいた。
「無視ッスか!? 無視なんスか!?」
「煩い。テメェは其処らでナンパしてこい」
いい加減鬱陶しくなった紅蓮を近くの女子が密集しているグループに蹴飛ばすと、紅蓮は嬉々として女子グループへ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!