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「ようやくこの日が来たね。
過去への旅立ちの日が…」
無数の計器のような物が埋め込まれている鋼鉄の壁に囲まれた部屋の中で、円卓を囲むように立っている十ほどの人影。
よく見ると、彼らは人間ではなく、全身真っ白い肌に、黒光りする尖った大きな目を持っている奇怪な生物…
その姿は、我々が『宇宙人』と呼んでいる物に酷似していた。
額の中心や肩にも、目と同様の黒光りするレンズのような物が埋め込まれており、全部で六つの目がこちらを見つめているようにも見えた。
最初に話していた物腰の柔らかい口調で話す、その生物は何かに気付いた様子で再び話し始めた。
「どうやら、また例のお客さんが来たようだよ。
暖かく迎えようじゃないか!」
彼が言った通り、わずか数秒後…黒地に白い装飾の入った鎧のような物を纏った何者かがその部屋に駆け込んできた。
頭部全体を覆う仮面には、時計の長針・短針・秒針を象った角飾りがアルファベットの『Y』の字を描くように配されていて、左手には、真っ直ぐな刃の付いた剣が握られている。
…明らかに敵意を持ってこの場に乗り込んで来た様子だ。
「トビ、どうする?」
さっきとは別の生物が最初に話していた生物・トビに尋ねた。
「今度は、あんな物騒な物を持って現れたんだ。
敵と見なして排除するしかないだろう?」
トビは、乗り込んで来た何者かと一戦交える覚悟のようだ。
それに対して謎の人物は…
「排除されるのは、お前たちの方だ…
アンクローチ!」
手にした剣を構えて飛び出して来る人物の前に、彼ら…アンクローチの中の一体が立ちふさがった。
「お前たち、早く行け…
ここは俺が食い止める!」
「ザムサ?
退くんだ…ここは僕がやる!」
ザムサと呼ばれるアンクローチに下がるように指示を出したトビだったが…
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