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深緑色の外殻に節のある手足…
大きな目に、触覚…
まるでイナゴのような特徴を持つ怪人に姿を変えた。
「その姿は?!」
他のアンクローチたちとはまるで違う姿になったトビに困惑するトキヤ。
トビは、まるで冥土の土産とばかりに、アンクローチたちの行き先と、この姿になった秘密を話し始めた。
「トキヤ、教えてあげるよ。
…今から僕たちが向かうのは、過去の地球。
この姿は、僕が時空転送装置のテストのために、先発隊として過去に行ってきた時に、スキャンした生物の特徴を具現化した物だ。
まあ、今の僕の姿は、『ローカストアンクローチ』とでも呼んでくれ。
まあ、君はこの刃で死ぬんだから、どうでもいい話かもしれないけど。」
簡単に説明を済ませたトビ=ローカストアンクローチは、どこからともなく剣を出現させて手にし、トキヤに襲いかかってきた。
「過去には何のために行く?!」
ローカストアンクローチの一撃を、自身も剣で防御しながらトキヤは尋ねた。
ローカストアンクローチが口にしたその答えは恐るべき計画だった。
「決まってるだろう。
人間の絶滅を加速させるのさ…
過去の時代から、じわじわとね。
知っての通り、僕たちは人間を直接殺して絶滅させようなんて考えちゃいない。
人間は、人間の手によって滅ぶべきなんだ…僕たちは、それをほんの少し手助けするだけだよ。」
クロノスーツを装着したトキヤさえも物ともしないパワーで徐々に押してくるローカストアンクローチ。
トキヤは、力負けしてついに片膝を落としてしまった。
「くそっ!」
「その鎧みたいなのも、物騒な剣も、僕たちには脅威かもしれない。
だけど、それを扱う君の腕がこの程度じゃね。」
劣勢のトキヤをあざ笑うように、ローカストアンクローチは強烈な蹴りをトキヤの腹部に当てて、彼を吹っ飛ばした。
床を転がるように倒れたトキヤだが、すぐに起き上がって剣を構えた。
だが…
「がはっ!」
仮面の下で吐血した様子のトキヤ。
しかも次の瞬間、クロノスーツから無数の火花が飛び散っていた。
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