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「これまでか…!」
トキヤは、ローカストアンクローチに背を向けると、壁に埋め込まれた計器のような物を、次々と剣で斬りつけて破壊していった。
「貴様っ、かなわないと思って…!」
傍らで戦いを見守っていたゼブが飛び出そうとするが、次の瞬間、トキヤは壁の一部を剣でくり貫いてそこから飛び出していった。
慌てたローカストアンクローチとゼブが、その穴から顔を出した直後、爆発音が鳴り響いた。
「自爆…?
いや、フェイクか。」
ローカストアンクローチは、変身を解いてトビの姿に戻りながら、十数メートル下の地上から上がっている煙を見つめていた。
「探さなくていいのか、トビ?
それに拠点(ここ)はさっきの攻撃で使い物にならなくなったな…」
危惧するゼブに対して、トビは全く気にも止めない様子で答えた。
「問題ないよ。
あの男が生きていたとしても、これほどの力の差を見せつけらたら、戦う気にはならないでしょ?
確かに、ここの損失は大きいけど、コアとなる『ブレイン』さえ生きてれば何の問題もないよ。」
―現代よりもはるか未来の地球…
過度の機械化が進み、人々の暮らしは便利になっていく一方で、すでに大自然の90%以上が失われていた。
これを危惧した、とある科学者の集団は『地球再生プログラム』の一環として、人工知能搭載型のスーパーコンピュータ・ビッグブレインを開発。
地球環境の再生を目的に使用される事になった。
だが、環境破壊の原因が人類にあると判断したビッグブレインは、人間に代わって地球環境を再生する存在・アンクローチを産み出した。
人間を遥かに凌ぐ高い知能と身体能力を持つ彼らによって、人類は『管理』される存在となってしまった。
そして、男女は『グランドウォール』と呼ばれる巨大な壁によって隔離され、子孫を生み出す事さえ叶わなくなってしまった。
人類は、ビッグブレインとアンクローチたちによって、人為的に『絶滅危惧種』となってしまったのだ。
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