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―それから数年の時が流れた。
数個の楕円形のカプセルのような物が置かれた部屋。
カプセルの一つが開き、その中で眠っていたらしき、白い全身タイツのような服を着た少年が出てきた。
少年は、コールドスリープの一種の装置によって眠っていたようだ。
「目覚めたか、トキヤ。」
部屋にいた壮年の男が少年に話しかけた。
そう、この少年こそ、クロノスーツの装着者であるトキヤだったのだ。
壮年の男はドクターと呼ばれる科学者。
クロノスーツを開発してトキヤに与えた人物である。
コールドスリープから目覚めるなり、トキヤはドクターにふてぶてしい口調で尋ねた。
「ドクター、例の物は出来上がってる?」
「ああ。
お前が言ったような、アンクローチみたいにコンパクトな物は無理だったがな。
『舟』としてなら何とか出来たよ。」
トキヤを伴って、『例の物』が置かれているらしい、格納スペースらしき場所に向かった。
そこには、全長5メートルほど、高さ3~4メートルほどの小型艇のような乗り物が置かれていた。
ドクターは、その乗り物について説明を始めた。
「人間の叡智では、ここまでが限界だった。
しかも、パイロットと時空転送装置の制御を担当する者…
安全に運用するためには、最低でも二人の搭乗が必要となる。
わしとお前、それに助手のユタがいれば問題ないだろう。」
ドクターの話に反応して手を振るドクターの助手、ユタ。
その小型艇の正体は、時空転送装置を内蔵したタイムマシン・フォトンランサー。
これを使って過去へ飛んだアンクローチを追うと言うのだ。
「イヴはどうする?」
トキヤがドクターに尋ねる。
イヴとは、20年ほど前、グランドウォールが建造されている最中にドクターによって拾われた少女である。
本来の年齢は、トキヤより五歳ほど上だが、コールドスリープで数年も眠っているため、今は同じくらいの肉体年齢となってしまっていた。
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