44人が本棚に入れています
本棚に追加
「イヴももちろん、連れていく。
あの子とトキヤ…
お前たちは、我々人類最後の切り札なのだから。」
―グランドウォール周辺の地域。
中年から老人まで、数人の男性が木片などで作った粗末な武器を持って、グランドウォールの方に近づいていた。
「いいか、みんな。
ここらの地域は、アンクローチたちの警備の手は薄い。
グランドウォールの向こう側に行って、何人でもいいから女たちを救い出すんだ!」
「おぉっ!」
隔離された人類は、アンクローチの監視の下、男女別々にグランドウォールの補強や緑化活動をさせられている。
彼らは、女性をグランドウォールの向こう側から連れ出し、人類を絶滅の道から救うため、無謀な行動に出たのだ。
その男性たちが、グランドウォールに近付いた時…
警備に着いていた者が突然マシンガンを乱射…男性たちは血を流して息絶えてしまった。
そして、引き金を引いた警備員も、なんと人間だったのだ。
「許してくれ…
侵入者を許してしまったら、妻と子供がアンクローチたちに…ううっ…」
涙を流しながら男性たちに詫びる警備員…
そう、アンクローチたちは決して自らの手は汚さず、敵対してくる人間は、人間の手で排除させていたのだった。
こんな世界に光を…
トキヤたちは、そう思いながらアンクローチたちと戦い続けて来たのだった。
―数日後。
準備が整い、いよいよ過去への出発の日がやって来た。
出発前、ドクターは鋼鉄製のケースに入れられていた、何かを取り出した。
「トキヤ、これを先に渡しておく。」
ドクターからトキヤに手渡されたのは、新たなる武器…
一見、スピードガンのような無骨な形をした銃のようだが…
「クロノギア。
基本形態は銃だが、さらに戦況に応じて4形態に分離させて使う事が出来る万能武器だ。
もちろん、以前使っていたソードも改良して収納してある。」
得意気に説明するドクター…
新たな武器も得て、後はイヴのコールドスリープを解いて旅立つだけ…という時だった。
最初のコメントを投稿しよう!