第1話

7/10
前へ
/492ページ
次へ
「イヴももちろん、連れていく。 あの子とトキヤ… お前たちは、我々人類最後の切り札なのだから。」 ―グランドウォール周辺の地域。 中年から老人まで、数人の男性が木片などで作った粗末な武器を持って、グランドウォールの方に近づいていた。 「いいか、みんな。 ここらの地域は、アンクローチたちの警備の手は薄い。 グランドウォールの向こう側に行って、何人でもいいから女たちを救い出すんだ!」 「おぉっ!」 隔離された人類は、アンクローチの監視の下、男女別々にグランドウォールの補強や緑化活動をさせられている。 彼らは、女性をグランドウォールの向こう側から連れ出し、人類を絶滅の道から救うため、無謀な行動に出たのだ。 その男性たちが、グランドウォールに近付いた時… 警備に着いていた者が突然マシンガンを乱射…男性たちは血を流して息絶えてしまった。 そして、引き金を引いた警備員も、なんと人間だったのだ。 「許してくれ… 侵入者を許してしまったら、妻と子供がアンクローチたちに…ううっ…」 涙を流しながら男性たちに詫びる警備員… そう、アンクローチたちは決して自らの手は汚さず、敵対してくる人間は、人間の手で排除させていたのだった。 こんな世界に光を… トキヤたちは、そう思いながらアンクローチたちと戦い続けて来たのだった。 ―数日後。 準備が整い、いよいよ過去への出発の日がやって来た。 出発前、ドクターは鋼鉄製のケースに入れられていた、何かを取り出した。 「トキヤ、これを先に渡しておく。」 ドクターからトキヤに手渡されたのは、新たなる武器… 一見、スピードガンのような無骨な形をした銃のようだが… 「クロノギア。 基本形態は銃だが、さらに戦況に応じて4形態に分離させて使う事が出来る万能武器だ。 もちろん、以前使っていたソードも改良して収納してある。」 得意気に説明するドクター… 新たな武器も得て、後はイヴのコールドスリープを解いて旅立つだけ…という時だった。
/492ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加