冬、中学、本屋

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ボーッとカウンターから入り口を眺めると、10分に一度くらいは人が通る。 自転車で駆け抜ける男の子の集団に、楽しそうに話しながら自転車のペダルを漕ぐ女の子2人組。 二人乗りして去っていく男女。 彼らや彼女達にとって、この商店街はただの通路に過ぎないのだ。 私だって15歳。受験勉強は今もやる気は出ないけど、そういうしがらみや、この本屋を投げ出して遊びたい、青春を楽しみたい。 そう思っても結局は私はこの本屋を投げ出して遊んだりはしない。 この本屋の店番をするために遊ばない、それが理由で学校で友達が居なくなってしまっても、この本屋を捨てたりはしない。 捨ててしまえば、両親は共働きで居ない我が家で、私は本当に独りに、孤独になりそうで怖い。 友達や恋人にかえられない、そういう居場所になっていた。
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