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「…お…、お客様…っ」
男が焦ったように、問い掛けるのを無視して辺りをキョロキョロする。
「…(一体、どこに…)……いた」
探していた人物を見つけると真っ直ぐに歩いていく。
「あー!また負けだっ!!…ったく、折角勝てそうだと思って急いで来たってのに、…きっとさっき何かにつまづいた時に運も落としたんだ」
(コイツ…)
「お客様…?どうかされたのですか?」
「俺のすることに口出しするなと言っただろう?」
掴んだ手を離すと、カードゲームに負けて憤ってる男の隣に腰掛けた。
「…あ?なんだ?」
「これは、音様…
いらっしゃいませ。本日は私にリベンジさせてくれるのですか?」
俺の姿を確認するとカウンターの中のディーラーが恭しく一礼する。
どうやら先日俺が負かしたディーラーが担当している台のようだった。
「ああ…、アンタか…。いや、今日はコイツと勝負したい」
同時に隣に座ってる男の胸ぐらを掴んで顔を寄せる。
「な、何をする…っ!?」
「礼儀知らずの不躾なヤツにはこの態度で充分だ。…それより、勝負しないか?」
男の顔を更に引き寄せ耳元に唇を寄せる。
「アンタが勝てば、一晩相手してやる。…そのかわり、負けたら礼儀を覚えて貰おうか」
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