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「離せっ!!この…俺は客だぞ!!」 「生憎と、テメェみたいなの…うちじゃ客と判断しないんでな」 憤慨している男が一際大きな声をあげたかと思うともう一人男が現れた。 漆黒の髪に、銀色の瞳。 かなり高身長の男性。 静かに男の身柄を拘束するとチラリとこちらを見下ろしている。 「巴…」 「閑ぁ…、コイツは俺が連れて行くから、そのオキャクサマはお前に任せる。…おい、そこのお前も悪かったな…。通常業務に戻っていいぞ」 ディーラーにそう告げると客を引っ張って"巴"と呼ばれた男はその場を去っていった。 …"閑"。それが、目の前のこの男の名前。 巴が歩いている姿をジッと見送ったあと、こちらに振り向き先程の無表情を消しまた柔和な笑顔を見せる。 「…では、行きましょうか。お客様」 「行くって、…どこへ?」 俺の問い掛けにほんの少し悲しいそうな笑みを浮かべ血の滲む頬を親指で撫でる。 「…血が滲んでます。…医務室で消毒しましょう?」 「…こんなの別に平気だか…「だめです」」 俺が言い終わらないうちに手をとると有無を言わせない強さで歩き出した。
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