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医務室に着くとどうやら医師は出払っているらしく、室内には俺と閑の二人きりだった。 手早く棚から消毒液やガーゼを手に取ると此方に振り返る。 「お客様、此方にお座り下さい。手当てしますから」 「いいって言ってるのに…」 有無を言わせない瞳に負け素直に椅子に腰掛ける。 ソッ…と傷を撫でる指が思いの外冷たくて肩がピクリと震えるのが解った。 「…こんなに綺麗な肌なのに……」 「…ンッ」 「あ、すみません…、痛みました?」 「…別に」 少し体温が上昇したのが解る。それを誤魔化すかのように顔を上げ口を開く。 「手当てするなら早くやってよ」 「あ、はい。……少し滲みるかもしれませんが、我慢してくださいね」 手早く綿に消毒液を含ますとピンセットで優しく傷口に触れる。 「ンッ…」 「すみません…、もう少しで終わりますから」 ジワジワと滲みる痛みに思わず目を瞑った俺に優しく声を掛けながら手当てを続ける。 最後にガーゼをテープで固定すると相手の指が離れるのが解った。 (終わったのか…?) ゆっくりと目を開けると、優しく微笑む顔が目の前にあった。
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