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目の前で碧に揺れる瞳を見詰める。
驚いたように見開かれた瞳。
白い細い指で柔らかな頬を包む。
何か言おうとして、薄く開いた唇に小さな舌を差し入れ緩やかに絡める。
「……ふっ、…ぁ、……んんっ…!!」
低く甘い声が唇の隙間から漏れるのを遮るように唇を合わせる。
碧に揺れる瞳で俺を見詰める彼の唇を湿った紅い舌で舐めソッと離すと、隣で鋭い眼で睨む男に視線を合わせた。
臆する事なく眼を細め、口角を上げ微笑みながら閑の頬を撫でる。
「……アンタ、今…俺の許可なく此処に
触ろうとしたね?……残念ながらねぇ、此処は俺専用なの」
「…っ!!な、なに言ってんだ!突然出てきて…、何考えてんだ!!…し、閑も何されるがままになってるんだよ!!」
男の視線に合わせて、閑に視線を移すと唇を確かめるように指先で触れ呆然と立ち尽くしている。
「…閑?」
「………」
男が訝しげに問うと無表情にジッと眺める俺にゆっくりと視線を合わせる。
瞬間、閑の顔は耳まで紅くなり口を覆って俯いてしまった。
「…っ、もういい。………覚えてろよ」
男は大して迫力もない睨みを利かせるとお決まりな捨て台詞を吐きその場を後にした。
ポンッと俺の肩を白い手が叩く。
「…なーにを覚えとくのか知らないけど、後は僕に任せておきな♪
たっぷり可愛がってきてア・ゲ・ルから♪」
楽しそうな笑みを浮かべると梛由汰は軽快に歩き出した。
そして、俺と閑の二人になる。
ゆっくりと距離をとり、ギュッと拳を握り締める。
――…確かめる、までもなかったな。
……………俺は、やはり彼の傍にいるには相応しくない。
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