41人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ
ああ…。
また、ここ。
冷たく暗い場所。
キョロキョロと辺りを見渡す。
少し動くと足元で水音がした。
確かめるように俯くと水溜まりの上に立っていたのが解る。
「……また、見せるの?」
ぽつり呟くと手の中のナイフを見詰める。
血に濡れた手。
拭いても、拭いても拭いても消えない。
まるで俺の罪のように。
不意に足元に目を落としビクリと肩が揺れる。
カラン…と手から落ちたナイフが音を立てる。
「………嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ、嘘だぁぁぁぁっっっっ…!!」
誰か嘘だと言って。
違う。
いつもの夢じゃない。
だって、だって…そこに倒れてるのは……紅い髪じゃなくて。
黒い髪。
最初のコメントを投稿しよう!