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あれは数日前――。
いつものように俺はここカジノ【Gold.】に来ていた。
カジノ場へ向かう途中、背の高い男が一人自動ドアの前に立っている。
その男は中へ入る訳でもなく、ジーッとドアを見詰めたまま時折首を傾げていた。
(何…コイツ。服装からすると…ここの従業員だと思うけど…)
黒のベストに紅いネクタイ。
紅い…。
一瞬、白昼夢のような感覚に陥り頭のなかに夢の情景が思い出される。
意識を無くしそうになるが、必死に保ち目の前の男に声を掛けた。
誰かと話していないと、意識を保ってられない。
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