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優しい眼差しのまま、微笑んでる愛しい人。
触れている感触。
抱き締められ、この心地いい安心感が全部……?
「……夢じゃ、……ない?」
ジッと碧に揺れる瞳を見詰め尋ねると、柔らかく目が細められ、ゆっくりと形のよい唇が動く。
「…ええ、夢じゃありませんよ?ほら」
そう言うと包んだ俺の手で自分の頬を摘まませる。
「…ふぇ?ふへひゃひゃいへほ?」
摘ままれたまま優しい笑みで話す閑を見詰め、目を瞬かせた。
「………ぷ、あは…、バカ閑。俺の頬をつねんなきゃ解んないだろ?」
その様子がおかしくて思わず吹き出した俺の顔をキョトンとした表情で見詰めたかと思うとすぐにほにゃんと柔らかい笑みを綻ばせる。
「…ほんとですね。…でも、馬鹿でもいいです」
「…え?」
閑の答えに目を瞬かせ見詰めると、柔らかい笑みまま今度は俺の頬を撫でる。
「だって、馬鹿のお陰で久し振りに音夜さんの笑顔が見れました。…だから、馬鹿でもいいです」
「…っ、なに言って…」
カァ…ッと上気する頬を隠したくて思わず俯いた。
顔は見えないけど、閑が穏やかな笑みで俺を見てるのが解る。
抱き締められ、心地よい温もり。
此れが夢じゃない……。
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