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閑の告げた言葉に手が震える。
優しく微笑んでる顔がぼやけてよく見えない。
やめてよ。
大好きな顔が見たいんだ。
今はこの涙を止めて。
今この腕の中にいる現実を確かめさせてよ。
震える指先を近付け愛しい人に触れる刹那。
『…これで、ずっと俺のものだね』
突如頭に響く聞き覚えのある声。
「……音夜さん?」
震える指を自分の唇に当てる。
この声…。
『もう絶対に離さない…永遠に』
脳裏にブラッシュバックのように紅い映像が次々に流れ出る。
「あ、あ…ぁ…っ!!」
嫌だ…、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
止めてよ。
こんな映像見せないでよ。
閑の大事な人が、俺だって解ったのに。
こうして、目の前にいるのに。
優しく抱き締めている腕が夢じゃないのに。
「…やだ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。いやだぁぁぁあぁぁっっ!!」
これ以上傍にいることを望むな…。
そう言いたいの?
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