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「音夜さんっ!!」
泣き叫ぶ俺の体がきつく抱き締められる。
ゆっくりと縋り着くように相手の服を握り締め震える唇で小さく声を出した。
「…やだ。……嫌だ。…好きなんだ。大好きなんだ…。閑が、好きで、好きで好きでおかしくなりそうなほど大好きなんだよ…。離れるなんて嫌だ。ずっと、ずっと傍にいたい…」
「音夜さ…」
「…でも、でも俺なにするか解んない。自分で止めれない、閑がどっか行くかと思うと黒い感情が出てきて…目の前が紅くて…気付いたら…」
涙を流す自分の姿が深い碧の瞳に映る。
「…音夜さん」
優しい声音で俺の名を紡ぐ唇が少しずつ近付いてくる。
黒い瞳から流れる涙を吸いとり、ソッと頭が撫でられた。
何度も、何度も。
「…僕も音夜さんが大好きですよ。だからずっと傍にいてください。僕も貴方の傍にずっといますから」
今、なんて?
「…好き?……俺を?おかしいのに?俺変なのに?気持ち悪く…ない?」
涙で震える言葉をゆっくりと優しく首を振り否定する。
優しく微笑む唇から安心させるかのように言葉が降ってくる。
「……それぐらい僕が好きなんでしょう?気持ち悪くなんてありません。寧ろ凄くうれしいです」
告げた閑の顔を見詰める。どんどんと溢れる涙が視界をぼやかせた。
「……っ、ば…か……」
涙声のまま告げるとゆっくりと閑の胸に顔を埋めた。
全ての音を煩わしと思っていたのに。
何も聞こえない、誰もいない、音のない、俺のいない世界を望んでいたのに。
今は、この優しい音に包まれていたい。
心からそう思える。
「…閑……愛してる」
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