動き始めた歯車

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バスの事故 ハッキリとした原因はわからなかったが 対向車線にはみ出し他の車と接触、横転しそこに大型コンテナを積んだトラックが突っ込んできた バスはスクラップ同然になり そこから収容された遺体は判別出来る物のほうが少なかった 所持品やパスポートからかろうじて本人であると解る程度 蓮の母も…… 見せられたのは左手だけだった しかも肘から下しかない腕だけ 母の腕かどうかも正直解らなかったが、残りの体の一部や持ち物から 多分、母であろうと言う事だった 母のその腕は見たこともないような淡いピンクのブラウスをまとっていた ちぎれているにも関わらず、その手は白く とても綺麗なモノだった いつも夢に出てくる腕は母のモノなのだ 「あの事故を引きずってるは君だけじゃないよ……みんな忘れたいけど忘れられない。遺族も……助かった人も……」 助かった人 そうだった たった1人助かった人がいたんだった…… それはそれで辛い人生かもしれないなぁ…… 「さぁ、成田に着くまでゆっくり寝なさい……これで飲んで」 そう言うと キャビンアテンダントから貰ってくれた冷たい水を差し出した
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