動き始めた歯車

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それ以来 これ以上 否定のしようがないくらい自分を否定して生きて来た もしも 自分を慰めてやるとしたなら 若かったんだね と、言うことと アンタに恋は向いてない そんな蓮を救ってくれたのは残念ながら父ではなかく 今の仕事をしているチームのチーフだった ややこしい事件を起こした曰く付きの蓮を自分の下に引き抜いてくれた 後で聴いた話しではチーフは蓮が付き合っていた彼の同期 そういった関係から彼が頼んでくれたらしい そこにあったのが愛なのか同情なのか謝罪だったのかは分からない けれど男として自分が出来る最大限の誠意だったのだと蓮は思った 彼によりチーフに感謝した その時すでに 蓮は恋とか愛するとかいった感情が自分からは完全に欠落してなくなっていることを知った どんなに思い出そうとしても体も心も首を横に振って途方に暮れた顔をする 多分、死ぬまで人を愛する事はない 一生、恋は出来ない これが自分に与えられた罰なんだろう そう思った 彼に出逢うまでは そして 私が引き取られた新しいチームは普通ではなかった こんな自分の居場所がまともなわけがない そんな事を言うと怒られそうだが 問題児ばかり集まった掃き溜めみたいなチームだった でも そこは、とても居心地がよくて もう一度 歩き出してみようかな 俯きながらでも そう思わせてくれる場所だった
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