47人が本棚に入れています
本棚に追加
早川 蓮(れん)
住宅メーカーでインテリアコーディネーターの仕事をしている
来月で花の20代ともサヨナラ
蓮がここアムステルダムを訪れるのは
今回が2度目
1度目は
まだ、入社して間もない頃だった
勿論、遊びで来たのではなく
今回と同じ
母親の為だ
蓮の母はオランダ旅行の最中に事故に遭い亡くなった
1度目は母の亡骸を引き取るために来たのだ
そして今回
7年目の節目ということで『遺族の会』みたいな人達に強く誘われ仕方なく参加する事になった
遺族の会
と言っても日本人は蓮を入れて10名
蓮の母は
日本の大手旅行代理店からの団体旅行で参加していたのだが
案外、自由行動の多いツアーだったらしくいわゆるオプショナルツアーを各自がセレクト出来る設定になっていた
オプショナルツアー自体も日本の旅行代理店が企画しているので
おのずと日本から一緒のメンバーということになる
ところが
蓮の母はそのオプショナルツアーにはことごとく参加していなかった
唯一
出掛けた日帰りツアーで事故に遭い亡くなった
しかも現地のフリーツアー
鎮痛剤が効き始めた
と思った時
携帯電話が鳴り出した
また
同行している遺族の会の人からかしら?
うんざりして電話に出る
「蓮か……?」
「お父さん……?」
私は
この父がどうしても好きになれなかった
最初のコメントを投稿しよう!