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蓮と黒田啓吾との関係はこんな最悪の状態で始まった
新しいプロジェクトに参加が決まった蓮のチームでふたりは
パートナーを組むようにチーフから言われる
工藤とずっとやってきたので少し驚いた
と、同時に嬉しかった
自分の感性を上手く伝える事はなかなか難しい
それを1から10まで説明しなくても解ってくれる相手は
そんなに簡単に巡り合えるものではない
黒田の性格はさておき
彼は
「仕事」において興味深く
意欲を掻き立てられる相手に間違いなかった
どこか焦点の合わない
ボンヤリとした
抜け殻のような生活を送ってきた蓮を
黒田は
深い海の底から一気に海面まで引っ張り上げる
そんな感じだった
そこは眩暈がするほど眩しく
足が着かない不安定な世界
だが
沈みそうになる蓮の腕をガッチリと掴んでいてくれる
それを確信するような事件が起きた
その事がきっかけで
蓮の心の中に入り込んでいたザラザラしたモノが舞い上がった砂ではなく
甘い砂糖だったことに気づく
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