*ぶち込んで散った赤

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今日は珍しく朝からお父さまがおうちにいらっしゃる いつものお仕事も、ぴえろのメイクもどうやらお休みみたい お菓子をつくるわたしの後ろからちょっかいをかけてくる 「お父さま、しっぱいしてしまったらどうするおつもりですか」 「お前の作ったモンならゴミでも喰うぜ?littleKitty」 わかってはいたけど、どうにも止めるつもりは毛頭ないようなので作業を進める 生地に混ぜるためのラズベリーソースのふたを開け、慎重に注ごうとした が、後ろからのびてきた手にソースを奪われる 「適当にブチ撒きャア良いだろ」 分量など考えずに放りこまれ、生地に散らばる赤い、赤いラズベリーソース お父さまは、動じずに黙りこんだわたしをいびつな傷痕のあるくちを歪めてにやにやと眺めている 「…なんだか、」 「han?」 「お父さまや、一緒にこの家に暮らすみんなが奪い取って散ったいのちの色に似ていますね」 「…ha、違いねェな」 そう言うと、お父さまは嬉しそうにさらにくちびるを吊り上げてわたしの頭をくしゃくしゃと撫で回した ――――――――――――― happyvalentine!
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