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「俺、甘いものダメなんだ」
受け取ってもらえないチョコレートを抱き、泣きながら走り去っていく隣のクラスの女の子…
私はたった今、圭先輩が告られてる場面を、目撃してしまった!!
私は呆然と…彼女の後ろ姿を目で追っていた。
「何?覗き見?」
振り返ると、圭先輩が目の前に立っている!!
「ちっ、違うよ!ぎっ、義理チョコだと思って、受け取ってあげたら良いのに… 圭先輩って罪なヤツ!!」
咄嗟の事だとはいえ、何言ってるんだろう私は…
「そんな事したら、あの子はもっと傷付くだろ?その気もないのに、受け取る方が罪だよ」
「それもそうだけど…」
「つか、何でお前こんな所に居るんだよ?」
えっ!どうしよう… 何て言おう…。
こんな何もない体育館の裏、用なんてあるはずないし、まさか、圭先輩を追い掛けて来たなんて言えないし。
「猫が… そう、猫がいたの!
追い掛けてたら見失った!!」
「なんだお前?猫なんて好きだったのか?」
「あっ、いた!圭先輩じゃあね」
我ながら下手すぎる演技…
私なにやってんの?絶対に渡すって決めて来たはずじゃん!
小さな紙袋を隠すように、駆け足でその場を離れた。
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