33人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
「美希っ!!
ねぇねぇどーだったの、圭先輩にちゃんと渡せたの?返事はOKだった?」
教室に戻ると、親友の沙耶が矢継ぎ早に聴いてきた。
「渡せなかったよ…」
「えぇーっ!なんでよ?」
あんな場面を見ちゃった後に、渡せるはずないじゃん…。
私はついさっき体育館の裏での出来事を一部始終、沙耶に話した。
「美希ってさ… 度胸良いのか悪いのか分かんないよね?あんなにガンガン圭先輩と仲良くなれたのに、なんで告れない訳?」
沙耶の言うことはもっともだよ。
入学して直ぐ私の片想いは始まってて… 少しでも接点が欲しくて、部活の朝練がある圭先輩に合わせ、毎日3本も早い電車に乗って…。
今では普通に仲の良い後輩になってる。
1年近くを費やして、やっとここまでの関係を築いたんだよ?今更振られたら… 私の1年は水の泡じゃん…
「とりあえず、ムリだったの!」
八つ当たり気味に、沙耶の問い掛けに返事した。
「まぁね、美希がそれで良いなら何も言わないけどね」
沙耶の意地悪… 良い訳ないじゃんよ!!
「あぁーっ、もう!!なんであんなとこ見ちゃったんだろう!!」
こうして私の告白チャンス、初めてのバレンタインは、告白どころか何も出来ずに終わってしまった…。
.
最初のコメントを投稿しよう!