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その後もなんの進展もないまま、圭先輩の高校生活最後の夏が過ぎ…
部活を引退した先輩達は皆、今までよりも遅い電車を使ってるのに、圭先輩だけは何故か、今まで通りの電車に乗っている。
自然と二人だけの時間が出来て、私は今まで以上に圭先輩と話す機会が増えていた。
「圭先輩?もう朝練ないのに、どうしてこの電車なの?」
「今までと同じ時間に起きちゃうし… 習慣だよ。たまに顔出してるし。
つか、美希はなんでこの電車なん?美希こそ早いじゃんか」
「私も習慣かな?」
進展のない片想いだけれど、唯一の変化は、圭先輩が私の事を名前で呼ぶようになった事!
そんな些細な変化でも、私は充分満足していたのかもしれない…
この二人でいられる通学時間を失いたくなくて、私は余計に想いを伝えられなくなっていた。
「美希って、そのチョコ好きだよな」
圭先輩が突然、私の鞄から見えるアーモンドチョコの箱を見ながら呟いた。
「好き、持ってないと不安になる!」
「なんだそれ?」
「私の精神安定剤みたいなものだから」
「はぁ?でもまぁ、俺も唯一そのチョコだけは好きなんだよな…」
圭先輩、私知ってるよ?
このチョコだけは好きなんだよね。
私はずっと前から知ってるんだ…
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