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入学した年の5月……
放課後沙耶と駅前のカラオケで歌いまくった後、帰える方向の違う沙耶と分かれ、駅のホームで帰りの電車が来るのを待っていた。
時間をもて余していた私は、ベンチに座り、鞄からアーモンドチョコを取り出して、食べながら沙耶にメールを打っていた。
ーーグゥーッ…
ふと隣を見ると、同じ制服を着た人のお腹が凄い音で鳴っている。
「あの… 良かったら食べる?」
お腹の音の凄さに、ついアーモンドチョコの箱を差し出してしまった。
「えっ、良いの?」
「食べかけで、少ししか入っていないけど、どうぞ?」
「あっ、腹鳴ってるの聞こえちゃった?部活してきたから腹減っちゃって。
ありがとう!」
美味しそうに、嬉しそうに…
残り少ないアーモンドチョコを平らげていた。
「美味い!俺、甘いもの苦手でチョコなんて絶対食べないけど、これ本当に美味い!!」
「お腹が空いていたからじゃない?」
「そうかもしれないけど、これ本当に美味いよ」
これが圭先輩との出逢いと、初めての会話。
美味しそうに食べている姿に、私まで嬉しくなり、そしてこの日から、私の片想いが始まったんだ…
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