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冬休みが近付く頃には、少しずつ圭先輩との距離が近くなってきた…
と、思っていたのは私だけだったのかもしれない。
学校でたまに見掛ける圭先輩の隣に、いつからだろう?
いつも圭先輩と同じクラスの詩織先輩がいることに気付いた。
目立つタイプではない詩織先輩。
だけど…
透き通ったような白い肌も、細く長い脚も、柔らかく綺麗な髪も…
全てが私とは対照的な、素敵な女(ひと)だ。
やっと最近、圭先輩の笑顔が私にも向けられるようになったのに、私には見せた事のないありったけの笑顔で、詩織先輩と歩いている。
圭先輩の好きなタイプが、詩織先輩みたいな人だったら?
私は勝ち目ないよ…
勝ち目?
フッ…
笑っちゃう… 最初からそんなもんあるの?
圭先輩にとって私は、恋愛対象なのかさえ… 分からないじゃん?
勝ち目なんか最初から無いに等しいじゃない…
私の想いを潰すように…
二人の姿を見掛ける度に、小さな不安の屑が、少しずつ少しずつ、積もっていく。
圭先輩に何も聞けないまま、一人悩み、新学期を迎えていた。
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