この想い…

6/11
前へ
/59ページ
次へ
冬休みが近付く頃には、少しずつ圭先輩との距離が近くなってきた… と、思っていたのは私だけだったのかもしれない。 学校でたまに見掛ける圭先輩の隣に、いつからだろう? いつも圭先輩と同じクラスの詩織先輩がいることに気付いた。 目立つタイプではない詩織先輩。 だけど… 透き通ったような白い肌も、細く長い脚も、柔らかく綺麗な髪も… 全てが私とは対照的な、素敵な女(ひと)だ。 やっと最近、圭先輩の笑顔が私にも向けられるようになったのに、私には見せた事のないありったけの笑顔で、詩織先輩と歩いている。 圭先輩の好きなタイプが、詩織先輩みたいな人だったら? 私は勝ち目ないよ… 勝ち目? フッ… 笑っちゃう… 最初からそんなもんあるの? 圭先輩にとって私は、恋愛対象なのかさえ… 分からないじゃん? 勝ち目なんか最初から無いに等しいじゃない… 私の想いを潰すように… 二人の姿を見掛ける度に、小さな不安の屑が、少しずつ少しずつ、積もっていく。 圭先輩に何も聞けないまま、一人悩み、新学期を迎えていた。 .
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加