そうだ。異世界にいこう

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「ふぅ」と僕は一息つく。 スッキリした。 無駄金と無駄に時間を使わされた鬱憤をすべて払い去り、むしろ今は上機嫌でさえある。 「とりあえず」と、僕は切り出す。 「早速幾つか叶えてもらおうか。」 「…………」 返事はない。 まぁいい。叶えることには変わりないのだから。 「今日使ってしまったラノベの分の無駄金、ボーカロイドのCD、美少女フィギュア、あとは最新のゲーム機と、そのカセットを出してもらおうか。……ちっ、僕もこの程度か。たったこれしか思い浮かばないとは」 それほど今の生活に満足しているということだろうか? 望む物が全くないなんて。 まぁいい。何せ永遠に叶え続けるのだから。 僕が未来の充実した生活に思いを馳せていると、不意にアンジェが口を開いた。 「なんだ?」 僕が睨むと、アンジェは申し訳なさそうに頬を掻く。 まさか叶えられないとか言うんじゃないだろうな? 「いえ……そういう訳じゃないんですが……」 アンジェはどこかごまかすように言った。 「何かあるなら早く言え」 急かすと、アンジェは手をモジモジさせ、 「それが……人間界では修行の身でここに来ているので、天界へ帰るための一回と、緊急用の一回しか魔法が使えないのです……」 頭を下げながらそう言った。 なるほど……天使であることを利用して、僕に対抗しようと言うわけか。 生意気なことをしてくれるじゃないか。 しかしだ。これは少し考える必要がありそうだ。
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