そうだ。異世界にいこう

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アンジェの言う天界へ帰るための一回。 それはアンジェは絶対に使いたくないはずだ。 だからと言って、使わせないほど僕は甘くないが そうするとアンジェが使えるのは緊急用の一回ということになる。 「じゃあ天界に帰るな」などと命令をすれば、帰るための一回分が使えるようになるが、合わせてたった二回しか叶えることができないことになってしまう。 なかなか考えたじゃないか。 ならば、考えを変えよう。 アンジェの言ったことを利用する手はないだろうか。 天使……その設定をアンジェは、魔法が二回しか使えないという追加設定で僕からの願いを見事にカバーした。 魔法……天界の設定と共に現れた単語だが、人間界では二回しか使えない――いや、アンジェは絶対に使いたくないだろうから、一回しか使えないことになっている。 …………天界? アンジェの言ったことを整理すると、神様のせいで人間界では魔法が二回“しか”使えないと言う。 ならば逆なら。 アンジェは天界なら何回でも魔法が使えるという解釈が出来るんじゃないだろうか。 所詮この程度か。と僕は息を吐く。 「ならアンジェ」 「は、はい!」 自分自身が天界に帰る魔法が使えるなら、他の人間も天界に行くことが可能なはずだ。 そして天界ならいくらでも願いが叶えられる。 というより、退屈な毎日から抜け出せるのは確かだ。 「僕を――」 「――天界に連れていけ」
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