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しかしアンジェは、僕の今までの思いを全て消し去るように言った。
「『帰天(メル・ヘブン)』!!」
次の瞬間、夏の夜は白き輝きに包まれた。
その発祥源はアンジェの手から放たれる神々しい光、そしてあれは……魔法陣……!?
ラノベで見た、円(サークル)に描かれるルーンの紋章。
それがそのままの形で今、目の前にあるのだ。
「素晴らしい……」
僕は笑みを浮かべる。
こんなことが起こるなんて夢にも思っていなかった。
いや、夢でも構わない。
ただ、覚めないでくれ
「目を……閉じて下さい」
アンジェの言われた通りに僕は目を閉じる。
すると音も無いまま身体が重さを失ったような感覚になり、僕は浮いた。
「まだ開けないで下さいね」
不思議な感覚に包まれたまま、それこそ夢心地で僕はいた。
そして、どれくらい経っただろうか?
宙に浮いているような感覚から一変。
暖かい陽射しと、鳥の鳴き声が聞こえる。
「着きました。ここが天界です」
アンジェの声に、僕はゆっくりと目を開ける。
写るのは美しい街の風景と、空を反射する海。
まさか本当に来るとはな……
さっきまでゴミ箱に頭を突っ込んでいたなんて思えない。
「どうですか……?」
「あぁ」
アンジェの問いに、僕は答える。
「最高だ」
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