1人が本棚に入れています
本棚に追加
リリリリリ…リリリリリ…
携帯に着信…アメリアだ。
「もしもし……いいよ」
太陽は沈みかけ、まだ青さを残した空にぼんやりと月がその姿を露わそうとしていた。
「母さん、ちょっと出かけてくる」
「夕飯までに戻るのよ!」
自転車に跨がり近所の公園に向かうと、そこには一人ブランコに座るアメリアがいた。僕はブランコの横に自転車を停め隣に座った。
キィコキィコ……ブランコの揺れる音が二人しかいない公園に響く。
「竜斗……あれさ……どう思う?」
「どうって…ショック…だった。まだ目が合わせられないよ」
「……私はさ、今までお父さんがこの事を話してくれなかった……二人だけの親子なのにさ………お父さん…何でよ……」
アメリアを見ると悲しい表情に瞳が潤んで涙がこぼれそうになっていた。
僕はなるべく優しく声をかけた。
「…言えなかったんじゃないかな」
「え?」
「母さんもアメリアのお父さんも言えない理由があったんじゃないかな」
「言えない…理由?」
最初のコメントを投稿しよう!