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僕は一つ咳払いして続けた。
「ほら、こういう組織って何でも秘密にするじゃないか。家族にも話せないとかさ。あるいは……」
少し間を置いて
「言いづらい事…思い出したくないとか…」
アメリアは黙って僕を見た。僕は星が瞬き始めた空を眺めて
「人は誰でもさ、言いたくない事があるよね。僕もあるしアメリアにもあるんじゃない?……大人はさ、僕達なんかより複雑で深い秘密があるものだよ」
ああ、何か僕語ってるなぁ。
「だから、話してくれる時が来るまで待つのもアリなんじゃない」
僕は自分の言った事を自らに言い聞かせる。そうさ、母さんは今は言えないだけだ。その時が来るのを待とう。
「生意気な事言ってるんじゃないわよ…」
アメリアが口を開いた。その声は先程のとは違い、いつもの
「子供のくせに…」
小生意気な口調だ。でもいい。元気になった。
「アメリアよりは大人のつもりだけど。誕生日は僕の方が3ヶ月早いしね」
そう言って彼女に向かってニッと笑うと
「精神年齢は低いけれどね」
アメリアは言い返し微笑んだ。
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