空と海と、貴方。

ソロツーデビュー！

この日は何となく、夜風に吹かれて走りたくなった。

別にそわそわして落ち着かないんだとか、とりたてて嬉しいことや悲しいことがあったわけでもない。
髪を切りたくなったからヘアサロンへ行こう。
そんな気分で出かけたくなっただけ。

天気予報を確認して、行くあても決まらないまま茜色に染まり始めた部屋を出た。
荷物はバッグにしまった財布と携帯、乾燥対策のハンドクリーム、リップグロスの四点。
薄手で暖かいと評判の量販店製インナーウェアを着、その上からギンガムチェックのシャツ、カシミアのセーターを着て、お気に入りのジャケットをはおり、いつものジーンズを穿く。首にはゆるくマフラーを巻いてみた。

うん、これで防寒対策はばっちり。
……のはず。

ふと、頭の中に北端の岬が浮かんだ。
そこは国道をひたすら北上すれば着くところで、道に迷う危険度も低い。