ワケあり?

20/42
前へ
/522ページ
次へ
「そういえば今の時間、大丈夫だった?」 「大丈夫ですよ」 笑顔の愛さんが、運んできたカップとポットをテーブルに置く。 ポットを手に持ち、皆のカップに紅茶を注ぎながら、槙さんが口火を切った。 「じゃあ、柏木さん」 「はい」 私からか、と、心持ち背筋が伸びる。 何か、尋問でも始まりそうな気配までするよ……。 ところが。 「長塚君、意外とスケベでしょー」 「!?」 耳を疑いながら思わず愛さんとの距離を確認した。だけどここはカウンターに一番近いテーブル。 「お兄ちゃん?」愛さんが聞き返してくる。 「うん、普通にスケベよ。違う?」 「……」 逆に同意を求められた。 たとえ私がだんまりしても、これはきっと愛さんがぶっちゃけるな……。 諦めに近い気持ちで、答えた。 「エロいですね」 さも有りなん、って感じで頷いている槙さんとは対照的に、両手で口許を覆って目を見張った上杉さんは私をガン見している。 ……でもね、すっごく目がきらきらしてるよ? 上杉さん。
/522ページ

最初のコメントを投稿しよう!

282人が本棚に入れています
本棚に追加