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「心配性のくせに、仕事にかまけて彼女に連絡しないとか、ない」
面白くなさそうに一唸りした槙さんは、
「柏木さん。延々と彼に遠慮なんかしないでいいの。彼には私からも言っとくから」
「……お心遣い、ありがとうございます」
ひとまず礼を言って、
「――よく知ってますね、彼のこと」
「同じ釜の飯を食べた同期だもの」
……そんな貴女と同期以上のことがなかったかが、激しく気になる……。
「もしかして、それ以上の関係じゃなかったかって思ってる?」
心境を読まれたことに驚いて、つい槙さんの目を見た。
彼女は首を縦にも横にも振らない。ただ私から目を逸らすことはなく、
「私たちはそこまで至らなかったわ。……互いを認め合った信頼できる同期、これが私たちのベストな関係」
何だか、ドラマの女刑事みたいな台詞。
「っていうかね」
美貌が面白くなさそうに渋くなる。
「私、職場であの人に男扱いされてんのよ。とっくに対象外だから安心して」
ある意味ひどいよ、長塚さん。
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